cos の積分は sin になります。なぜなら、積分は微分の反対であり、sin を微分すると cos になるからです。とは言っても、これだけで終わってしまっては、あまりにも事務的であり、数学に触れていることにはなりません。
そこで、このページでは、なぜこうなるのかを、誰でも直感的に理解できるように詳しく解説していきます。読み進めていただくと、積分や微分というものが、より深くわかるようになるので、ぜひご覧ください。
1. cos の積分は sin
定義上、積分と微分は正反対の演算です。つまり微分をしたら cos(x) になる関数である sin(x) が積分です。
cos(x) の不定積分は sin(x)
f(x)=cos(x)⇄
それでは、なぜこうなるのでしょうか?
その理由は「積分は微分の反対だから」なのですが、ただ、これを鵜呑みにしているだけでは、積分の本質を理解していることにはなりません。そこで、この点について、より深く、かつ直感的に理解できるように解説しておきたいと思います。
2. なぜ cos の積分は sin になるのか
まず「積分とは何か」で、「関数 f(x) にとっての積分 F(x)とは、面積を求めるための掛け算であり、関数 F(x) にとっての微分 f(x) とは、高さを求めるための割り算である」ということをお伝えしました。
そして「sin の積分はなぜ -cos ?積分と微分の関係を誰でもわかりるように解説」では、同じことを、任意の区間における f(x) の平均値と F(x) の傾きの関係を使って別視点から解説しました。
積分を深く直感的に理解したいという場合は、以上の2つのページは必ず読み込んでおいてください。ここからは、これらについて理解している前提で、\cos(x) の積分を視覚的に確認していきましょう。
2.1. cos の平均値は sin の傾きと等しい
まずは以下の画像をご確認ください。これは [\frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}] の間の \cos(x) の面積と平均値を示しているものです。

解説します。
ご覧の通り、\cos(x) の不定積分は \sin(x) なので、「微分積分学の基本定理」より、面積 \int^{\frac{3\pi}{2}}_{\frac{\pi}{2}}\cos(x)dx は次のように求められます。
\cos(x) の定積分(=面積)
\begin{eqnarray} \int^{\frac{3\pi}{2}}_{\frac{\pi}{2}}\cos(x)dx &=& \sin(\frac{3\pi}{2})-\sin(\frac{\pi}{2})\\ \end{eqnarray}
そして同区間の平均値(高さの平均)は、この面積から区間の範囲を割ることで求められます。
\cos(x) の平均値(=高さの平均)
\begin{eqnarray} \frac{\int^{\frac{3\pi}{2}}_{\frac{\pi}{2}}\cos(x)dx}{\frac{3\pi}{2}-\frac{\pi}{2}} = \frac{\sin(\frac{3\pi}{2})-\sin(\frac{\pi}{2})}{\frac{3\pi}{2}-\frac{\pi}{2}} \end{eqnarray}
ポイントは、[\frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}] 間の \cos(x) の平均値(高さの平均)は、その不定積分 \sin(x) の傾きと同じ値になるという点です。
2.2. cos の値は sin の微分の値と等しい
さて、「微分とは何か」で解説した通り、微分とは接線の傾きです。ということは、ここまでは [\frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}] 間を見てきましたが、この区間を [a, a+dx] というように狭くすると、\cos(x) の平均値(=高さ)が、その不定積分である \sin(x) の微分と同じ値になることがわかります。
以下の画像でご確認ください。

この通り、積分や微分を求めるときのように、dx の値を 0 に近づけていくと(範囲を狭めていくと)、\cos(x) と \sin(x) がお互いに積分と微分の関係であることがわかりますね。
3. cosの積分のまとめ
以上が、\cos(x) の積分が \sin(x) であり、\sin(x) の微分が \cos(x) であることの視覚的な証明です。
ぜひ、しっかりと理解できるように何度も読み返してみてください。また、その際は、『積分とは何か?最もわかりやすく簡単に理解できるように解説』と『sin の積分はなぜ -cos ?積分と微分の関係を誰でもわかりるように解説』も読み返すようにすると理解がより深まるでしょう。
参考にして頂ければ嬉しく思います。
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