当ページでは対角行列について以下のことがわかります。
このページでわかること
- 対角行列の定義
- 対角行列の性質
- 対角行列の逆行列
対角行列とは
対角行列とは正方行列の一種で、対角線以外の全ての要素が 0 の行列のことを言います。対角行列 \(D\) の各要素 \(d_{ij}\) において \({}_i \neq {}_j\) の場合、その要素は 0 であるということです。
\[\begin{eqnarray}
\overset{対角行列 \ D}{
\begin{bmatrix}
* & 0 & 0 & 0 & 0\\
0 & * & 0 & 0 & 0\\
0 & 0 & * & 0 & 0\\
0 & 0 & 0 & * & 0 \\
0 & 0 & 0 & 0 & *
\end{bmatrix}}
\end{eqnarray}\]
対角行列の性質
対角行列には次のような性質があります。
- 同じサイズの対角行列同士を足し合わせると対角行列になる
\(
P=
\begin{bmatrix}
2 & 0 \\
0 & 4
\end{bmatrix}, \ \ \
Q=
\begin{bmatrix}
4 & 0 \\
0 & 3
\end{bmatrix}, \ \ \
P+Q=
\begin{bmatrix}
6 & 0 \\
0 & 7
\end{bmatrix}
\)
- 同じサイズの対角行列同士を掛け合わせると対角行列になる
\(
P=
\begin{bmatrix}
2 & 0 \\
0 & 4
\end{bmatrix}, \ \ \
Q=
\begin{bmatrix}
4 & 0 \\
0 & 3
\end{bmatrix}, \ \ \
P \cdot Q=
\begin{bmatrix}
8 & 0 \\
0 & 12
\end{bmatrix}
\)
- 対角行列を転置しても変わらない
\(
P=
\begin{bmatrix}
2 & 0 \\
0 & 4
\end{bmatrix}, \ \ \
P^T=
\begin{bmatrix}
2 & 0 \\
0 & 4
\end{bmatrix}
\)
- 対角行列同士は掛け算の順番を変えても結果は変わらない
\(
P=
\begin{bmatrix}
2 & 0 \\
0 & 4
\end{bmatrix}, \ \ \
Q=
\begin{bmatrix}
4 & 0 \\
0 & 3
\end{bmatrix}, \ \ \
P \cdot Q=
\begin{bmatrix}
8 & 0 \\
0 & 12
\end{bmatrix} \ \ \
Q \cdot P =
\begin{bmatrix}
8 & 0 \\
0 & 12
\end{bmatrix}
\)
対角行列の逆行列
対角行列の逆行列は以下の通り、簡単に求められます。
\(
A=
\begin{bmatrix}
a_{11} & 0 & 0 \\
0 & a_{22} & 0 \\
0 & 0 & a_{33}
\end{bmatrix}, \ \ \
A^{-1}
=
\begin{bmatrix}
\frac{1}{a_{11}} & 0 & 0 \\
0 & \frac{1}{a_{22}} & 0 \\
0 & 0 & \frac{1}{a_{33}}
\end{bmatrix}
\)
対角行列の行列式
対角行列の行列式は以下の通り簡単に求められます。
\(
A=
\begin{bmatrix}
a_{11} & 0 & 0 \\
0 & a_{22} & 0 \\
0 & 0 & a_{33}
\end{bmatrix}, \ \ \
|A|
=
a_{11}a_{12}a_{13}
\)