三角関数の微分は、微分学の中でもずっと使うことになるとても重要なトピックです。そして結論から言うと、タイトルの通り sin の微分は cos になります。
それでは、なぜそうなるのでしょうか?
試験で高得点を取るための勉強も大切ですが、優秀なエンジニアやプログラマになるなど、数学を実社会で活かすには、盲目的に公式通りに問題を解くだけでなく、「なぜそうなるのか?」を徹底的に考えることが重要になっていきます。
そこで、このページでは、この点について、誰でも理解できるように視覚的に学べるアニメーションを豊富に使いながら解説していきます。ぜひご覧頂ければと思います。
1. sinとは
まず sin とは何だったかを簡単に復習しておきましょう。
sinとは単位円(半径が1の円)上にできる、角度をθ・斜辺の長さを1とする直角三角形の対辺の長さのことです。斜辺の長さが1ではない直角三角形の場合でも、sin の値は必ず「対辺/斜辺」に等しくなります。
以下のアニメーションをご覧頂くとわかりやすいでしょう。
ご覧のように sin(θ)の長さは、θの値が 0 から π(180度)の間は正の値になり、π(180度)から 2π(360度)の間は負の値になります。そして、1/2π(90度)のときと、 3/2π(270度)のときに最長になります。
この sin(θ) の長さを、横軸がθ・縦軸が sin(θ) のグラフに描いたものが有名なサインカーブ(正弦波)です。
以上が sin です。
2. sinの微分はcos
sin の微分は cos になります。以下のアニメーションで視覚的に表しているので、ぜひご確認ください。sinが青で、cosが緑です。
sinの微分公式
\[
\sin^{\prime}(\theta)
=
\cos(\theta)
\]
3. sinの微分の証明
それでは、なぜこうなるのでしょうか。
微分について考える時の鉄則は、関数の入力値の小さな変化によって、出力値がどのように変化するのかを考えることです。具体的には、θの値がほんの少し変化した時、sin(θ)の値はどう変化するか、ということです。これを、いちいち文字で表すのは不便なので、ここからは θの値の変化を dθ、これによる sin(θ)の値の変化を d(sin(θ)) と表します。
つまり、sinの微分は以下の計算によって求められます。
sinの微分の計算方法
\[
\sin^{\prime}(\theta)
=
\dfrac{df(x)}{dx}
=
\dfrac{d(\sin(\theta))}{d\theta}
\]
そして、sinに限らず、三角関数の微分は、グラフ上ではなく、単位円上で考えることがコツです。それでは単位円上では、dθとd(sin(θ))は何を意味するのでしょうか。これを考えていくことが、そのまま証明につながります。
3.1. ラジアンの復習
dθとd(sin(θ))ついて考えていくための前提として、まずはラジアンについて確認しておきましょう。
ラジアンとは、単位円上では、角度θのことであると同時に、角度θの時の弧の長さでもあります。例えば、θが 1 ラジアンの時、孤の長さも 1 になりますし、θが 2 の時は孤の長さも 2 になります。つまり、単位円上では θ は孤の長さと同じになるのです。なお1 ラジアンは 180°/π です。
言葉よりも、以下のアニメーションで確認して頂いた方がわかりやすいでしょう。
この知識が sin の微分を考える上での前提となります。
3.2. dθとd(sin(θ)) の幾何学的意味
さて、あらためて単位円上では、dθとd(sin(θ))は何を意味するのでしょうか。
まず、θは角度θのときの孤の長さと同じです。ということは、dθはθが変化したときの孤の長さの変化を意味することになります。そして、d(sin(θ)) は、それによる対辺の長さの変化です。
ぜひ以下のアニメーションでご確認ください。
3.3. sinの微分は「隣辺/斜辺」と同じ
さて、こうやってdθとd(sin(θ))を眺めていると興味深いことに気づきます。
それは、dθを斜辺・d(sin(θ))を隣辺とする小さな直角三角形は、元の直角三角形と相似形になっているということです。これは、以下のアニメーションをご覧頂くとわかりやすいでしょう。
さて、上述の通り、sinの微分は \(\dfrac{d(\sin(\theta))}{d\theta}\) で求められます。ということは、この計算は直角三角形の「隣辺/斜辺」の計算をしているものであることになります。そして、この計算こそ、まさにcosの定義なのです。
以上のことから、sinの微分はcosになります。
\(\sin^{\prime}(\theta)=\cos(\theta)\) の証明
\[
\sin^{\prime}(\theta)
=
\dfrac{dy}{dx}
=
\dfrac{d(\sin(\theta))}{d\theta}
=
\dfrac{隣辺}{斜辺}
=
\cos(\theta)
\]
4. まとめ
以上がsinの微分の解説です。
特に難しいものではありませんが、元々のsinの理解やラジアンの理解が足りていない場合は、厄介に感じるかもしれません。その場合は、それぞれの復習をしっかり行っておきましょう。
三角関数の微分は、微分の中でも特に重要なものなので、関連分野も含めてしっかりと理解するようにしましょう。
コメント
コメント一覧 (1件)
はじめまして。
コメント失礼します。
微積分学や関数等の説明をする際、このようなアニメーションで説明する方法がないかと探していました。
この動画はどのように作成されていますでしょうか。ソフト、プログラム等がございましたら教えていただければと思います。