NumPyのexp関数は、底をネイピア数e とする指数関数の値を計算する関数です。
「指数関数」とは、下図で示しているように、定数である底a に対する’べき乗’によって計算される関数のことです。
そして、NumPyには 3種類のexp関数が用意されています。
- exp: ネイピア数e を底とする指数関数
- expm1: ネイピア数e の指数関数 – 1 (y=ex-1)
- exp2: 2 を底とする指数関数
このページでは、これら3つの関数について見ていきたいと思います。
なお、「ネイピア数」とは 2.718281…の無理数であり、自然対数の底でもあります。対数については、『NumPyのlog関数で対数を取得する4つの方法まとめ』で解説していますのでご確認頂ければと思います。
つまり x = logey のとき ex = y です。このネイピア数は、非常に便利な数学的性質を持ち、統計学や機械学習でよく使われます。
1. 書式
まずは np.exp関数の書き方を確認しましょう。
書き方:
np.exp(x), np.expm1(x), np.exp2(x)
引数 | 型 | 解説 |
x | array_like | 任意の配列を渡します。 |
* この他に、キーワード引数としてufunc(ユニバーサル・ファンクション)を使用可能です。具体的には、out, where, axes, axis, keepdims, casting, order, dtype, subok, signature, extobj です。しかし、これらは高度な操作を行いたい時に使うものであり、基本的には使いません。 |
戻り値:
ndarray or scalar: 渡した配列x のそれぞれの要素ごとに計算した指数関数の値を要素とする配列を返します。もし配列x がスカラー(要素が1つの配列)ならスカラーを返します。 |
Note
np.exp関数に、実数を渡した場合、戻り値の要素は常に正の数値です。複素数 a+ib を渡した場合、ex = eaeib と書くことができます。eaの部分については実数を渡した場合と同じです。eib の部分は cos b + i sin b で計算されます。
2. サンプルコード
以下の配列を例に見てみましょう。
import numpy as np
x = np.arange(0, 5, 0.5)
x
この配列x をexp関数に渡すだけで、配列x を指数、ネイピア数e を底とする指数関数を計算します。
# ネイピア数e を底とする指数関数を計算
np.exp(x)
expm1関数を使った以下のコードは、計算結果は exp(x)-1 とまったく同じです。ただし、この場合、expm1 の方が計算精度が高いため、こちらを使いましょう。
# exp(x)-1 と同じ
np.expm1(x)
exp2 は 2 を底とする指数関数を計算します。
# 2 を底とする指数関数を計算
np.exp2(x)
それぞれをグラフに描いて比較してみましょう。
import matplotlib.pyplot as plt
plt.plot(np.exp(x), label="exp")
plt.plot(np.expm1(x), label="expm1")
plt.plot(np.exp2(x), label="exp2")
plt.legend()
plt.show()
3. まとめ
以上が、NumPyのexp関数の使い方です。それぞれ目的に応じて使い分けましょう。
なお、指数関数と反対の対数関数については、『NumPyのlog関数で対数を取得する4つの方法まとめ』で解説していますので、あわせて確認しておくとよいでしょう。
なお各関数は、以下のような対応関係になっています。
指数関数 | 対数関数 |
---|---|
exp(x) | log(x) |
expm1(x) | log1p(x) |
exp2(x) | log2(x) |
– | log10(x) |
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