Generator.gammaは、ガンマ分布から乱数配列を生成するジェネレータメソッドです。
ガンマ分布とは、簡単に言うと、ある一定の期間に1回起こるランダムな事象がn回起こるまでの時間の分布を示したものです。たとえば、電子部品の寿命の分布や、通信の待ち時間の分布などに使われます。
このページでは、このGenerator.gammaメソッドについて解説します。
1. 書式
書き方:
Generator.gamma(shape, scale=1.0, size=None)
パラメーター:
shape: float or array_like of floats ガンマ分布の形状を指定する。負の数は不可。値が大きいほど正規分布に近づく。※ガンマ分布ではshape * scale = mean(平均値) |
scale: float or array_like of floats, optional ガンマ分布のスケール(縮尺)を指定する。負の値は付加。デフォルトは1.0。※ガンマ分布ではshape * scale = mean(平均値) |
size: int or tuple of ints, optional 出力する配列のshapeを指定する。デフォルト値のNoneの場合で、かつ、shapeとscaleがともにスカラーの場合、1つの乱数の値を返す。それ以外の場合は、np.broadcast(shape, scale).sizeの乱数を生成する。(参考:『NumPyのshape属性 – 配列の形状の確認と変更』) |
戻り値:
out: ndarray or scalar 指定した範囲のガンマ分布からの乱数を出力する。 |
一緒に確認したい関数:
- scipy.stats.gamma: 確率密度関数や累積分布関数など
2. サンプルコード
それでは、サンプルコードを見ていきましょう。
まずは、random.default_rng コンストラクタでジェネレータオブジェクトを作成します。『numpy.random.default_rng – 乱数生成のためのジェネレータオブジェクトの作成』に目を通しておいてください。
import numpy as np
rng = np.random.default_rng()
rng
こうして作成したジェネレータオブジェクト rng に対して、Generator.gammaを呼び出します。その際、第一引数にガンマ分布のshape、第二引数にscale、第三引数にsizeを指定します。
なお、ガンマ分布では、shape * scale = meanです。
shapeとscaleのみを指定すると、その分布から乱数を1つ取得します。
rng.gamma(2., 2.)
第三引数で出力する配列のsizeを指定します。
rng.gamma(2., 2., 5)
なおガンマ分布では、第一引数のshapeが大きいほど、正規分布に近くなります。そしてscaleが大きいほど広がりが大きくなります。
以下でいくつか描画しておきます。
import matplotlib.pyplot as plt
import scipy.special as sps
plt.subplot(221)
shape, scale = 2., 2.
s = rng.gamma(shape, scale, 10000)
count, bins, ignored = plt.hist(s, 50, density=True)
y = bins**(shape-1)*(np.exp(-bins/scale) /
(sps.gamma(shape)*scale**shape))
plt.plot(bins, y, linewidth=2, color='r')
plt.title('shape=2., scale=2.', fontsize=12)
plt.subplot(222)
shape, scale = 2., 4.
s = rng.gamma(shape, scale, 10000)
count, bins, ignored = plt.hist(s, 50, density=True)
y = bins**(shape-1)*(np.exp(-bins/scale) /
(sps.gamma(shape)*scale**shape))
plt.plot(bins, y, linewidth=2, color='r')
plt.title('shape=2., scale=4.', fontsize=12)
plt.subplot(223)
shape, scale = 10., 2.
s = rng.gamma(shape, scale, 10000)
count, bins, ignored = plt.hist(s, 50, density=True)
y = bins**(shape-1)*(np.exp(-bins/scale) /
(sps.gamma(shape)*scale**shape))
plt.plot(bins, y, linewidth=2, color='r')
plt.title('shape=10., scale=2.', fontsize=12)
plt.subplot(224)
shape, scale = 20., 2.
s = rng.gamma(shape, scale, 10000)
count, bins, ignored = plt.hist(s, 50, density=True)
y = bins**(shape-1)*(np.exp(-bins/scale) /
(sps.gamma(shape)*scale**shape))
plt.plot(bins, y, linewidth=2, color='r')
plt.title('shape=20., scale=2.', fontsize=12)
plt.tight_layout()
plt.show()
3. まとめ
以上のように、Generator.gammaはガンマ分布から乱数配列を生成するジェネレータメソッドです。
これまで使われていたnp.random.gamma関数は継続して使用可能ですが、Generator.gammaメソッドを使った方が遥かに高速で科学技術計算に適しています。
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