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三角行列

当ページでは三角行列について以下のことがわかります。

このページでわかること

  • 三角行列の定義
  • 三角行列の性質
  • 三角行列の逆行列
目次

三角行列とは

線形代数において三角行列は正方行列の一種です。正方行列の対角線より下の全ての要素が 0 のものを上三角行列、対角線より上の全ての要素が 0 のものを下三角行列と言います。

\[\begin{eqnarray}
\overset{上三角行列 \ U}{
\begin{bmatrix}
* & * & * & * \\
0 & * & * & * \\
0 & 0 & * & * \\
0 & 0 & 0 & *
\end{bmatrix}} \ \ \ \
\overset{下三角行列 \ L}{
\begin{bmatrix}
* & 0 & 0 & 0 \\
* & * & 0 & 0 \\
* & * & * & 0 \\
* & * & * & *
\end{bmatrix}}
\end{eqnarray}\]

例えば、以下はすべて上三角行列です。

\[
\begin{bmatrix}
1 & 1 \\
0 & 2
\end{bmatrix}
\ \ \
\begin{bmatrix}
1 & 2 & 4 \\
0 & 3 & 5 \\
0 & 0 & 6 \\
\end{bmatrix}
\ \ \
\begin{bmatrix}
1 & 2 & 4 & 7 \\
0 & 3& 5& 8\\
0 & 0 & 6 & 9 \\
0 & 0 & 0 & 10
\end{bmatrix}
\]

三角行列の性質

三角行列には以下のような性質があるため、解くのが易しく、データ分析において重要なものとなっています。

  • 2 つの上三角行列同士、または下三角行列同士を足し合わせたものは同じく三角行列になる。
  • 2 つの上三角行列同士、または下三角行列同士を掛け合わせたものは同じく三角行列になる。
  • 上三角行列の逆行列は上三角行列のまま、下三角行列の逆行列は下三角行列のままになる。
  • 上三角行列の転置行列は下三角行列に、下三角行列の転置行列は上三角行列になる。
  • 三角行列のスカラー倍は三角行列のままになる。

三角行列の逆行列

上の性質の中の逆行列について詳しく見ておきましょう。三角行列の逆行列はそのまま三角行列です。以下でご確認ください。

まずは上三角行列の逆行列です。

\[
A=
\begin{bmatrix}
1 & 2 & 3 \\
0 & 4 & 2 \\
0 & 0 & 2 \\
\end{bmatrix}
\ \ \
A^{-1}=
\begin{bmatrix}
1 & -0.5 & -1 \\
0 & 0.25 & -0.25 \\
0 & 0 & 0.5
\end{bmatrix}
\]

続いて下三角行列の逆行列です。

\[
A=
\begin{bmatrix}
4 & 0 & 0 & 0\\
2 & 4 & 0 & 0\\
3 & 2 & 2 & 0\\
3 & 2 & 2 & 2
\end{bmatrix}
\ \ \
A^{-1}=
\begin{bmatrix}
0.25 & 0 & 0 & 0\\
-0.125 & 0.25 & 0 & 0\\
-0.25 & -0.25 & 0.5 & 0\\
0 & 0 & -0.5 &0.5\
\end{bmatrix}
\]